ウェルテックとは
福祉施設の居室を想定した「模擬環境ラボ」を備えた
福祉製品・サービスの開発支援施設
ウェルテックは、川崎市・国立大学法人東京工業大学・国立研究開発法人産業技術総合研究所の三者によって運営される福祉製品等の開発支援施設です。川崎市複合福祉センター「ふくふく」内に立地する特徴を活かして、福祉現場のニーズを収集したり、新たな福祉製品開発に反映できます。また、「模擬環境ラボ」を活用して、福祉製品の性能・安全性を科学的に評価するなど、開発・改良に向けた伴走支援を実施します。さらに、開発した製品の普及・導入支援を行うことで、製品等の利用者の自立支援や福祉現場の負担軽減に繋げます。
川崎市複合福祉センター「ふくふく」建物内という立地の強みを生かした連携
ウェルテック紹介動画
※音声が流れます。
具体的評価の例
ウェルテックは、発足したばかりですので、まだ具体例がございませんが、関連プロジェクトで取り組んだ内容を紹介します。
椅子の身体保持性能評価
過去に本プロジェクトと同様の実証研究を行った事例で、高齢者施設等において椅子の座り直しによる転倒リスク事象が発現されているため、転倒(ずり落ち)しにくい椅子の開発に繋げたものです。
座り直しの要因を抽出し、その対策を椅子に実装することで転倒リスクの低減に取り組みました。座り直し要因は、①お尻が痛い、②両足が床につかないことで起こる上体の不安定化、③正しい姿勢での座り方ではないために起こる上体の痛み等があり、こうした課題に対して①座厚(クッション厚)、②前後移動座面、③アンカーサポートといった条件の組み合わせでリスク低減の実証を行った結果、座面は分圧されていることが分かります。
実証を行った企業は、この結果を踏まえ、さらに座面材質やクッション素材等の検討を進め、新製品を市場投入を目指しています。【令和元年度・経産省、産業保安等技術基準策定研究開発等事業(高齢者行動データライブラリを活用したセイフティ・バイ・デザイン促進事業)で取り組んだ例】
手すり使用時の姿勢・保持力評価
福祉用具の評価には、ラボでの検証の他、実環境での検証も可能です。必要に応じて、RGBDカメラや力センサなどの各種センサを使用した評価を行います。高齢者の日常生活の自然な動作から身体機能変化を計測・評価するための階段用手すり型二軸力センサを用いて、 100日間以上の在宅長期モニタリングによる昇降データを取得し、活動時間,昇降回数,速度,それらの経時変化を評価しました。このような製品開発に必要なデータも整備していきます。
事故データを用いたニーズ探索
事故データを保有する機関と連携して、新しい福祉用具が備えるべき機能の探索を行います。老人ホームなどの施設内、家庭内、屋外等で起こった製品関連事故のビッグデータを分析し、改善すべき生活状況を明らかにすることで、新たなニーズ探索へとつなげていきます。
典型的機器使用状況の可視化
どのような状況で日用品・福祉用具が実際に使われているかを可視化するツールも開発しています。いつ、どこで、どのような姿勢、どのような力を使って製品を使用しているのかを定量的・視覚的に把握可能になります。